
別府温泉と湯布院コンシェルジュのおのっちです。
今回は、「別府には世界中の「7割」がある!7つの泉質別・効能・種類と選び方」というテーマで話します。
みなさんは温泉地といえばどこを思い浮かべますか?
日本一の湧出量を誇る大分県の別府温泉は、実は世界的に見てもかなり珍しい、まさに「奇跡」と呼ぶにふさわしい温泉地なんです。
ポイント
なんと、世界に存在する10種類の泉質のうち7種類もの異なる泉質が、別府市内にぎゅっと揃っているってご存知でしたか?
これは、ただ温泉の数が多いだけでなく、その日の体調や目的に合わせて「お湯をサプリメントのように選べる」ということを意味します。
しかし、種類が多すぎて「どこに入ればいいのかわからない」「泉質の違いなんて気にしたことがない」という方も多いのではないでしょうか。
それは非常にもったいないことです!
今回はそんな別府の7つの泉質について、それぞれの科学的な特徴や効能、そして「今の自分」にぴったりのお湯を選ぶためのヒントを徹底的に解説します。
美肌になりたい方も、日頃のストレスをリセットしたい方も、この記事を読めば、あなただけの特別な温泉が必ず見つかりますよ。
- 別府温泉にある7種類の泉質それぞれの詳細な特徴と効能メカニズム
- 美肌、冷え性、デトックスなど目的に合わせたエリアの選び方
- 複数の温泉を巡って効果を倍増させる「機能浴」の入浴順序
- 体の中から健康になる飲泉や、砂湯・蒸し湯の楽しみ方
別府の泉質は7種類!それぞれの特徴や効能・種類を解説
別府温泉が「温泉のデパート」と呼ばれる最大の理由は、車で数十分の狭いエリアの中に、世界でも類を見ないほど多種多様な泉質が湧き出ていることにあります。
ここでは、別府で楽しめる7つの泉質について、それぞれの個性と効能を深掘りしていきましょう。
世界10種類のうち7つがある理由
日本には環境省が定める「掲示用泉質名」という分類があり、全部で10種類あります。
ポイント
驚くべきことに、別府温泉にはそのうちの7種類(単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、含鉄泉、酸性泉、硫黄泉)が存在しています。
ちなみに、別府に含まれないのは「二酸化炭素泉」「含よう素泉」「放射能泉」の3つだけです。
なぜこれほど種類が豊富なのかというと、別府独自の地形的な特徴が大きく関係しています。
西にそびえる鶴見岳や伽藍岳といった活火山の恵みと、別府湾に向かって広がる扇状地の地層が複雑に組み合わさることで、場所(エリア)によって全く異なる成分のお湯が湧き出るのです。
山側のエリアでは硫黄分を含んだ強いお湯が、海側では塩分を含んだお湯が湧いています。
たった数キロ移動するだけでお湯の色も匂いも全く違う体験ができるのは、地球の神秘と言えるでしょう。
柴石や亀川エリアにある美肌の炭酸水素塩泉
「美肌の湯」として特に女性に有名なのが、炭酸水素塩泉(たんさんすいそえんせん)です。このお湯の最大の特徴は、重曹(じゅうそう)成分を多く含んでいることです。
重曹には、脂肪を乳化させたり、タンパク質を分解したりする働きがあります。
つまり、この温泉に入ると、石鹸を使わなくても皮膚の表面が柔らかくなり、古い角質や毛穴の汚れが乳化して溶け出すのです。
入浴中にお肌を触ると、少しヌルヌルとした感触があるのが特徴で、これは肌の表面がアルカリ性の成分によってクレンジングされている証拠です。
入浴後は一皮むけたように肌がツルツル、スベスベになります。「クレンジングの湯」とも呼ばれ、肌のザラつきやくすみ、切り傷などが気になる方におすすめです。
別府では、自然豊かな柴石温泉や、海沿いの亀川温泉エリアで多く見られます。
ただし、クレンジング力が強いため、入浴後は皮脂が落ちて乾燥しやすくなります。
上がったらすぐに化粧水や乳液で保湿ケアを行うのが、美肌を作る鉄則ですよ。
鉄輪や浜脇エリアで温まる塩化物泉や含鉄泉
体の芯から温まりたい、冷え性を改善したいという方には、塩化物泉(えんかぶつせん)や含鉄泉(がんてつせん)がおすすめです。
塩化物泉は、その名の通り塩分(ナトリウムイオンや塩化物イオン)を多く含んでいます。
この塩分が皮膚に付着すると、汗の蒸発を防ぐ「薄いベール」のような役割を果たします。
これにより保温効果が持続し、入浴後もポカポカ感が長く続くため「熱の湯」とも呼ばれます。
湯けむり情緒あふれる鉄輪温泉(かんなわ)や、レトロな風情の浜脇温泉に多く湧いており、冬場の湯治には最適です。
一方、含鉄泉は鉄分を多く含んでおり、湧き出した直後は無色透明でも、空気に触れて酸化すると赤褐色(黄金色)に変化するのが特徴です。
見た目のインパクトもさることながら、保温効果が非常に高く、古くから貧血や月経障害、更年期障害など、女性特有の悩みに良い「婦人の湯」とされてきました。
鉄輪温泉の一部や、血の池地獄周辺でこのパワフルなお湯を楽しむことができます。
明礬エリア特有のデトックス硫黄泉や酸性泉
わらぶき屋根の「湯の花小屋」で有名な「明礬(みょうばん)温泉」エリアには、独特の硫黄の香りと白濁したお湯が特徴的な、非常に個性の強い泉質が集まっています。
それが硫黄泉と酸性泉です。
硫黄泉に含まれる硫化水素ガスは、抹消の毛細血管を拡張させる働きがあり、全身の血行を強力に促進します。
また、解毒作用(デトックス)が強く、体内の毒素排出を助けるとも言われています。
「痰の湯」とも呼ばれ、慢性気管支炎などにも良いとされる、まさに「薬湯」のような存在です。
酸性泉は、水素イオン濃度(pH)が低く、殺菌力が非常に強いお湯です。
皮膚表面の古い角質を強制的に剥がすピーリング効果があり、アトピー性皮膚炎や水虫、慢性的な皮膚トラブルに悩む方が、全国から湯治に訪れます。
ただし、肌への刺激が強いため、肌が弱い方や高齢の方は注意が必要です。
入浴後は真水のシャワーで成分を流す「上がり湯」をすることをおすすめします。
別府や観海寺エリアのやさしい単純温泉
これまでに紹介した個性的な泉質とは対照的に、成分が一定量未満でマイルドなのが単純温泉です。
別府駅周辺の別府温泉や、大型ホテルが立ち並ぶ観海寺温泉など、市内全域で楽しめます。
「単純」という名前から「効果が薄いのでは?」と思われがちですが、決してそうではありません。
肌への刺激が少なく、体に負担をかけずにゆっくりと長湯ができるため、自律神経を整えたり、ストレスを解消したりするのに最適です。
また、高齢者や赤ちゃん、肌がデリケートな方でも安心して入れる「家族の湯」でもあります。
湯治のプロは、初日に体を慣らすために単純温泉に入り、中日に強い泉質で治療を行い、最終日にまた単純温泉で肌と体を整える、という使い方をします。
他の泉質の効果を引き立てる、名脇役のような存在とも言えるでしょう。
別府の泉質の種類を使い分ける機能浴という入浴スタイル
別府温泉の真骨頂は、これらの異なる泉質を単独で楽しむだけでなく、戦略的に組み合わせて入浴する「機能浴(きのうよく)」にあります。
ただお湯に浸かるのではなく、自分の目的や体調に合わせてお湯を選ぶことで、その効果を何倍にも高めることができるのです。
複数の温泉を組み合わせる機能浴とは
機能浴とは、例えば「角質を落とす湯」に入った後に「保湿する湯」に入るといったように、それぞれの泉質の長所を掛け合わせる入浴法のことです。
別府は温泉地同士の距離が非常に近く、車やバスを使えば15分〜20分程度で全く異なる泉質のエリアに移動できます。
そのため、1日の中で複数の泉質を巡る「はしご湯」が容易にできる、世界でも稀有な環境なのです。
鉄輪と明礬を巡るおすすめの入浴ルート
私が特におすすめしたいのが、美肌効果を最大化するための「明礬(みょうばん)×鉄輪(かんなわ)」ルートです。
これは、シャンプーで汚れを落としてからリンスで保護するような、理にかなったスキンケア入浴法です。
【最強の美肌機能浴ルート】
- ステップ1:明礬温泉(硫黄泉・酸性泉)
まずは山側の明礬エリアへ。酸性のお湯で古い角質をピーリングし、硫黄成分で毛穴を開いて、体内の老廃物をデトックスします。言わば「お肌の大掃除」です。 - ステップ2:鉄輪温泉(塩化物泉)
次に海側の鉄輪エリアへ移動。塩分を含んだお湯に入ります。塩分が肌に皮膜を作り、ステップ1で綺麗になった肌に潤いを閉じ込めます。これは天然の「保湿パック」です。
この順番で入ると、まるで高級エステに行ったかのようなツルツル・モチモチ肌になれますよ。
逆に順番を間違えて、最後にクレンジング効果のある硫黄泉に入ってしまうと、せっかくの保湿成分が流れて肌が乾燥してしまうこともあるので、回る順番は非常に重要です。
砂湯や蒸し湯で効果を高める特別な入浴法
お湯に浸かるだけが温泉ではありません。
別府には、古くから伝わる「砂湯」と「蒸し湯」というユニークかつ強力なデトックス入浴法があります。
亀川エリアの「別府海浜砂湯」などで体験できる砂湯は、温泉で温められた砂に首から下をすっぽりと埋めます。
砂の適度な重み(圧力)が全身の指圧効果をもたらし、血行が促進されます。15分ほどで全身から大量の汗が吹き出し、老廃物が排出される爽快感は病みつきになります。
また、鉄輪温泉の「むし湯」は、石室の中に敷き詰められた薬草(石菖:せきしょう)の上に横たわり、温泉の蒸気で蒸されるサウナのようなものです。
石菖の素晴らしい香りが鼻から抜け、リラックス効果と発汗作用が同時に得られます。
どちらも普通のお湯では味わえないデトックス効果があるので、滞在中に一度は体験してみてください。
体の中から泉質を取り入れる飲泉のポイント
温泉は「浸かる」だけでなく「飲む」ことでも効果を得られます。
これを「飲泉(いんせん)」と言います。ヨーロッパの温泉地では、飲泉が医療行為として一般的ですが、ここ別府でもいくつかの施設で飲泉が可能です。
例えば、鉄輪エリアなどの塩化物泉を飲むと胃腸の働きを活発にし、柴石エリアの炭酸水素塩泉を飲むと胃酸を中和して胃の調子を整えたり、糖尿病や痛風に良いとされています。
ただし、すべての温泉が飲めるわけではありません。
成分が強すぎたり、衛生管理上の理由で飲めない場所も多いです。必ず保健所の許可を得た「飲泉許可」の表示があり、コップが設置されている場所で、コップ1杯(100ml〜200ml)程度を目安に新鮮なお湯を飲むようにしてくださいね。
目的や体調に合わせたお湯とエリアの選び方
その日の気分や体調に合わせて温泉を選べるのが別府のいいところです。
以下に、悩み別の選び方をまとめました。
| 目的・悩み | おすすめの泉質 | 主なエリア |
|---|---|---|
| 冷え性・更年期・関節痛 | 塩化物泉、含鉄泉 (温まり持続、血行促進) |
鉄輪、浜脇 |
| 美肌・角質ケア・くすみ | 炭酸水素塩泉、硫黄泉 (クレンジング、美白) |
柴石、明礬、亀川 |
| 疲労回復・ストレス・不眠 | 単純温泉 (刺激が少なくリラックス) |
別府、観海寺 |
| 慢性皮膚病・アトピー | 酸性泉、硫黄泉 (殺菌、ピーリング) |
明礬、塚原 |
「今日は仕事で疲れているから、単純温泉で景色を見ながらゆっくりしよう」「最近肌荒れが気になるから、明礬の泥湯に行ってみよう」といった具合に、自分の体の声を聞いてコンシェルジュのように選んでみてください。
効果的な湯治で心と体を整える方法
かつては1週間〜数週間滞在するのが当たり前だった「湯治(とうじ)」ですが、現代では1泊2日や日帰りでも十分にリフレッシュ効果を得る「プチ湯治」が可能です。
効果を高めるために大切なのは、「無理をして長湯しすぎないこと」と「休息」です。
特に別府の温泉は成分が濃いため、入浴だけでかなりのエネルギーを消費します。
1回のお風呂は長くても10分〜15分程度にし、上がったらしっかりと水分(水やイオン飲料)を摂ってください。
そして、できれば30分〜1時間程度、横になって体を休めることが、湯あたりを防ぎ、温泉の効果を体に浸透させるコツです。
温泉街を散策するのも楽しいですが、あえて「何もしない時間」を作ることも、最高の贅沢な湯治と言えるでしょう。
別府の泉質と効能・種類すまとめ
別府温泉は、ただお湯がたくさんあるだけの場所ではありません。
地球のエネルギーが凝縮された7つの泉質を使い分け、自分の心と体をメンテナンスできる、世界でも稀有な「癒やしのテーマパーク」です。
- 自分の悩みに合った泉質(酸性、アルカリ性、硫黄など)を知る。
- 明礬で洗って鉄輪で保湿するなど、複数の温泉を組み合わせて効果を高める。
- 砂湯や蒸し湯、飲泉など、五感を使って全身で温泉を楽しむ。
ぜひこの記事を参考に、あなただけの「推し温泉」を見つけて、最高の別府時間を過ごしてくださいね。
心も体もリセットされた新しい自分に出会えるはずです。おのっちでした!
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